1211210112112102  この津田玄蕃の苦労をこの江戸城にいるすべては何も報いてはくれないのです。

「・・・・・・。お手前のご事情を察するに駿府脱走はけだし当然、責むる法がどこにござろう。とまれ、道中ご苦労にござった。とりあえずは御城内にて休息なされよ」

 せっかく駿府を脱走して、この江戸城に駆けつけたのに、その肝心の江戸城内は、もはやひどい有様なのです。ただ津田玄蕃とその郎党にはこの隼人の言葉は嬉しいです。所詮江戸時代の武士なんて、こういうものだったのでしょう。

「拙者もよくは知らぬが、たしか的矢六兵衛殿ーー」
12112010  隼人がその名を口にしたとたん、石段を昇りかけた津田の足がはたと止まった。

 ああ、この津田玄蕃によって六兵衛が変化してくれればいいなあ。そして彼の口から語ってほしいのです。