12021704        3・21集会アピール

 1998年12月、安田好弘弁護士が顧問会社に資産隠しを指示したという容疑で逮捕され、それから10カ月という長期間の勾留・拘留を余儀なくされました。「人質司法」としか言いようがない、このような長期間の拘留がなされたことに、私たちは今でも怒りを禁じ得ません。
 改めて言うまでもないことですが、安田さんは、精神障害者の権利擁護、山谷労働者の権利獲得のための諸活動など、一貫して市民の権利を守るための弁護活動を展開してきました。また重大な刑事事件についても、新宿バス放火事件や名古屋女子大生誘拐殺人事件など、数多くの弁護人を務めています。安田さんの弁護姿勢は、罪を犯した人が自分の罪と真正面から向き合うように援助する一方で、司法に対しては、罪を犯した人が再度人生をやり直すことができるように力を尽くすといったものです。その中で、被告から矯正の機会を永遠に奪う死刑に反対し、死刑廃止運動を積極的に推進してきました。弁護士会から依頼を受け、なり手のいなかったオウム真理教の麻原(松本)被告人の弁護を引き受けたことも、このような安田さんの弁護活動の延長線上にあるものでしょう。
 私たちは、訴えます。安田さんのこのような弁護活動を中断させ、汚名を着せる検察のやり方は明らかに間違っている、と。安田さんに向けられた「強制執行妨害罪」という罪は、検察のでっちあげにすぎない、と。私たちは1999年3月以来、90回、3年以上に及ぶ裁判を可能な限り傍聴し、またその経過について関心を払ってきました。裁判の中で、私たちが知ったのは、当初、住管(整理回収機構)や検察が疑いの目を向けてきた2億1千万円という金と、その他にも3億3千万円が、S社によって隠匿されたのではなく、ましてそれを安田さんが指示したわけではなく、S社の経理担当者らが着服したという事実でした。
今日、私たちがお話をうかがった魚住昭さんは著書『特捜検察の闇』の中で、次のように書いています。「彼ら(検察)は横領を見逃した、Y子らの業務上横領を追及していけば安田−Sの賃料隠しを否定する結果になりかねないからだ、一連の事実の流れの中で相反する性格の犯罪を同時に立件するのは不可能に近い。それよりY子を自分たちの都合のいい証人に仕立て上げ、安田を有罪に追い込んだほうがいい。そう判断したのである」。
 私たち市民からみても、信じられないような横領が事件化されることなく、安田さんを有罪にするための手段とされていることに驚きを禁じ得ません。検察官は、安田さんの顧問弁護士としての「アドバイス」を「指示」と書き換えた調書を作成していますが、魚住さんが言うように、「捜査の目的は真実は正義の追求ではない。安田を葬り去ることである」と言えるでしょう。
 昨日3月20日に行われた検察側の論告求刑は、実に小さな声、それも早口で書面を読み上げるというもので、あたかも傍聴席を埋めつくさんばかりに集まった市民に対して聞かせたくない、うしろめたさすら感じさせるようなものでした。またその内容は「他人に責任を転嫁し、自己の刑責を全く顧みない被告人には、真摯な反省の態度は微塵も見られず」と安田さんを一方的に罵倒するものでした。公判で明らかになった事実を全く踏まえず、本来であれば横領罪で告訴すべき証人を弁護する検察側の姿勢、全てを安田さんに責任転嫁するような恣意的な検察のあり方は、正義に反するもので、市民に批判されてしかるべきものです。このような検察側の姿勢に私たちは強い憤りを感じます。

 安田好弘さんは無実です。安田さんを有罪とする検察側の論理が完全に破綻していることは、、私たち市民の目から見ると明らかです。
 東京地裁の裁判官の皆さん、真相をきちんと追求する裁判、冤罪被害者を生み出さない裁判のあり方を望んでいるのは、皆さんも私たちも同じではないでしょうか。
 東京地裁の裁判官の皆さん、皆さんの判断が、安田好弘弁護士のみならず弁護士全体、また私たち市民全体にもかかわるものであることを今一度想起し、真実をふまえた公正・公平な判断を下してください。
 私たち集会参加者一同は、東京地裁が、安田裁判にかかわる全ての証拠をくまなく吟味し、安田さんの無罪判決を出すことを強く求めます。

2003年3月21日  「安田裁判の現在」集会 出席者一同

※ このアピールは、裁判官への手紙を添えて、集会後、裁判官に届けたいと思います。皆さんご自身も、ぜひ安田さんの無罪判決を求める自筆の手紙を裁判官に出してください!

〒100-8920 東京都千代田区霞ヶ関1−1−4
       東京地方裁判所 刑事16部
            裁判長 川口政明
            裁判官 早川幸男(右陪席)
            裁判官 内田 暁(左陪席)