私の好きな作品であります、これが目森さんの spider job  蜘蛛業 にUPされました。

   http://kumowaza.net/node/220
       目森一喜短編集『大相撲土俵際白星黒星』

 私はUPされたのを知った一昨日の朝早く、これを読みまして、実に笑いました。そして昨日もまた全文を読んでいました。そして声をあげてまた笑っていたのでした。
 私は、15日の昼に、お風呂に入っていて、そこでトイレに行きたくなりました。そのときに、この琴菜枯(ことなかれ)を思い出したのです。
71e56f56.jpg これには、次のようにあります。

 尿意をもよおした。体を拭いてトイレに行くのを面倒臭がった琴菜枯は、風呂場にしゃがみこんで小便をした。

 私はそのときに、トイレに行きまして、でもそのときに、このシーンを思い出したのです。そしてあの小説をまた読んでみたいと強烈に思いましたものでした。

 この小説に出てくる富士の山は、私は勝手に千代の富士を思い浮かべてしまいます。千代の富士って、こんな人だったのかなあ、と思ってしまうのですね。
 この千代の富士ではない、富士の山が、

 富士の山は呟いた。
「俺ってクリスタル」

というところはいいです。そのシーンが目に浮かびます。
 そして何故か一度も勝てなかった琴菜枯に、富士の山は、全勝同士でぶつかり勝利します。あの、相撲ファンの方がおられたら怒らないでください。相撲の関係者も、もし読んだら、怒らないでください。これは単なるどうでもいいフクションのお話です。
 でも富士の山がせっかく全勝優勝したのに、それと優勝争いをした琴菜枯は引退をしてしまいます。普通なら許されないことでしょう。でも琴菜枯のことは、もう誰もどうでもいいのです。早く自分の脳裏から忘れ去りたいのです。
 ただ、富士の山だけには、不満が残ります。負けようとしている琴菜枯に、その通り勝利しても何になるのでしょうか。もうただただ、面白くないだけです。
 でも、自分の部屋で次のようなことがあります。

 そんな時、ふと、稽古場の隅でだらだらしている若い者を見た。来いと呼んで稽古をつけた。せっかく横綱が稽古をつけてくれるのだから、勇み立って当然の所を、その若い者は、自分からやんわりと転んで、もういいと言う。富士の山には、その転び方を見るだけでわかる。まったく資質がない。しかも、やる気もないらしく、その上、聞くと痛いことが嫌いだと言う。
 嬉しくなった。富士の山は次の目標を自分の部屋で発見したのだ。

 私は今もこの小説を読んで笑いました。どうしても笑ってしまうのです。
 そしてまた同じことをいいます。

 相撲の関係者も、相撲のファンも、もしも読んだのなら、怒らないでください。笑って読みましょう。

続きを読む