1211050612110507  新的矢六兵衛から預かった脇差を預ける御腰物部屋に隼人は行きます。そこには刀が収めてあるのです。そこで六兵衛の刀と脇差は一対になります。

 大小を並べてみれば、いよいよみごとな拵(こしら)えである。黒蝋色(くろろいろ)の漆は若く、傷みもない。だとするとこれはやはり、株を買うて俄か旗本となったあの六兵衛が、新調したものだと見るべきであろう。

 それで刀を直接見て確かめます。

「何と鑑(み)る」
 隼人が訊ぬれば、目利きの老役はにべもなく答えた。
「肥前の忠吉。それもこの鉄色(かねいろ)から察するに、後代ではござるまい。いやはや、畏れ入った」12110414

 思えば、江戸時代というのは、実際の武器としても刀というよりも、美術品といったように刀を見られるようになったのでしょうね。
 もう武器としての刀の時代は、もうはるかな昔に終わっていたのです。