1210190112101902 伊左衛門がいよいよ的矢六兵衛の家に直接出向きます。

 迎えに出たは若党であった。かねてより見知った者だが、もともと能面のごとき侍での、組頭の来訪はよほど意外のことであろうに顔色ひとつ変えぬ。さては、かくあらんと予測しておったのかとさえ思うた。

 ここの挿絵がこの若党です。これが実にこの小説のこのシーンの若党だと思えるものです。あとで単行本のときにも、この挿絵も入れてもらえないものかなあ。
 それで伊左衛門は、的矢六兵衛の御隠居夫婦と会います。この二人は、前と変わりない、旧的矢六兵衛の親夫婦なのです。でもこの夫婦は、いわば慇懃無礼です。
 伊左衛門はいいます。

「六兵衛はいずくにある」
 わしは言葉にきわまって、まっすぐに言うた。むろんその六兵衛とは、見知らぬ侍のことではない。的矢六兵衛を出せと、わしは迫ったのだ。12101705

 この伊左衛門によって真相が判明するのでしょうか。もう江戸城明け渡しは寸前に迫っています。どうなるのかばかりが気になります。