acbcdda2.jpg

新聞名 図書新聞第2931号
発行所 図書新聞
定 価 240円
発行日 2009年8月15日
読了日 2009年8月22日

 最初の

評者◆藤井誠二 ドライながらも実践の書――限られた時間の中で裁判員は最大限、何ができるのかを教えてくれる

を読みました。「橋爪大三郎『裁判員の教科書』」は、「あ、これは読まなくちゃ」と思わせてくれます。最初に次のようにあります。

 とてもドライな提言の書だ。一読して、そう思った。著者が指摘する裁判員制度の問題点や、制度に期待する理由についてはさほどの目新しさは感じられないのだが、ともかく始まるものは始まるのだから受け入れよう、そして裁判員とは何をするべき役割なのかを考えようという最初から最後までわかりやすく呼びかけ続けているところが潔く、ぼくがドライに感じた所以だろう。いまからでも裁判員制度を潰せという非現実的な主張も少なくない中で貴重な提言といえる。

 これで、私はこの本自体を読まなくちゃいけないと思いました。でもこの本自体を手に入れるには、また八重洲に行かなくちゃならないのですね。いや、インターネットで手に入れるのは、吉本(吉本隆明)さんと長谷川慶太郎の本のみにしているのです。でもこういう私の決め事がくだらないのかなあ。
 でも今の裁判員制度を知るのにはいい本ではないのかと思いました。

 そもそも裁判員裁判には圧倒的に時間がない。実質3〜4日間という限られた時間の中で裁判員は最大限、何ができるのかをこの本は教えてくれる。ドライながらも実践の書である。裁判所は裁判員に対してなんらかの「教科書」を配布するはずなのだが、裁判員は検察官をチェックせよと書いてある「教科書」はぜったいに配らない。

 私が裁判員になることは決してないでしょうが、とにかくこの橋詰大三郎さんの本を読んでおこうと思ったものです。

 でもこうしてたくさんの本が紹介されていても、もうその中の僅かなものしか読めないものなのですね。少し寂しい思いになります。
 でもとにかく、頑張って読んでいきましょう……、でも自分のわきに積んである未読の何冊もの本を考えてしまいます。

 サイト限定情報の「評者◆杉本真維子 針の灯火」を読みました。実は私はこの方の詩集を2冊読んでいます。いや、まだ本は並べているだけですが。とても若い方なのですね。

 目黒の東京都庭園美術館で「ステッチ・バイ・ステッチ 針と糸で描くわたし」という展覧会が開催されている。

ということから書き出されています。そして、この方の作品について、最後に次のように書いてあります。

 勤務時間中に隠れて制作する、ということは、いわば労働に対する報酬という約束を放棄し、時間を盗むことでもあるが、その危うさや悪は、たぶんあらゆる芸術に不可欠なものだ。だから、その直接性によってもこの作品は際立って人を惹きつける。ちらちらと心をよぎった、罪悪感のようなものは、純度の高い汗となって、ひたいを滑り落ちていたかもしれない。そんな、様々なざわめきをはらいのけて、無心に刺されていく一本の針。その輝きが、小さな灯火となって、彼の「夜」を突き抜けている。そのことが全然他人事に思えないのだ。

 私なんか芸術とは無縁の人間ですが、これはよく判るな。
 でもまずは、この杉本さんの詩集を読んでいきましょう。