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蘇軾35歳の任地杭州での作品です。杭州の西湖を目の前にした情景を七言絶句にしています。

六月二十七日、望湖樓酔書 蘇軾
六月二十七日、望湖楼に酔うて書す
遽惜殍鰐ぜ彁 黒雲墨を翻して 未だ山を遮ら
白雨跳珠亂入船 白雨珠を跳(おど)らせ 乱れて船に入る
卷地風來忽吹散 地を巻き風来って 忽ち吹き散じ
望湖樓下水如天 望湖楼下 水天の如し

黒い雲が墨をぶちまけたように広がったが、まだ山を遮るまでは行っていない。
白い大粒の雨が、真珠をまき散らしたように乱れて船の中に飛びこんできた。
地をまきあげる勢いの強い風が急に吹いてきてにわか雨をまき散らす。
望湖楼の下の水面は大空のように広くて静かだ。

西湖といえば、同じく蘇軾『西湖』の詩をすぐに思い浮かべ、私が4歳の頃会った女の子のことを思い出します。
漢詩は、詩吟を長年やってきた私には、まずは日本のいくつもの漢詩が浮かんでくるわけですが、その他はやはり唐の何人もの詩人たちの詩が頭の中に浮かんできます。そしてそれ以外の時代の中国の詩人というと、この蘇軾の詩が一番多く思い浮かんでくるのです。
そしてまた私は、林語堂「蘇東波」のいくつものシーンが浮かんできます。蘇軾はいいなあ、蘇東坡はいいなあ、と繰り返して思ってしまうのです。

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