11033006 この本はいつ読んだのかなあ、と思い出すのですが、たぶん高校2年のときでしょう。この作家の作品はけっこう読んできたものでした。楡基一郎という精神病院の院長が東京青山でその病院を経営しています。これはものすごい権威ある病院なのです。この院長が、北杜夫の父斉藤茂吉がモデルなのですが、この作品で歌人としてしか知らなかった茂吉がこんなすごい人だった(すごいというのかなあ?)ということを、私は知ったものです。
 もう楡家の家族はみな不思儀と思える人物ばかりです。基一郎の末っ子の米国(よねくに)は、日米戦争になったときに大変な思いになります。彼は、米国というのは、アメリカ米国(べいこく)ではなく、豊葦原瑞穂の国のことなのだと言い続けます。そして彼は徴兵され、中国大陸を、「ああ、もうダメだ」(実は私は言葉をはっきり覚えていない)とつぶやきながら、ずっと進んで行きます(当然戦死したのでしょうが、そのことは書いてありません)。
 北杜夫は、「どくとるマンボウ」のいくつもの作品と、『夜と霧の隅で』も読みまして、『或る青春の日記』も楽しく読みました。
 そうですね、この『楡家の人々』はもう読み直す気持はありませんが、他の本は何冊か読みなおそうという気持になっています。(2010.03.13)