良寛(1758〜1831)は、江戸時代後期の禅僧で、漢詩人、歌人です。越後の出身で、性は山本、名は栄蔵です。
諸国を行脚し、漂泊しましたが、この詩は故郷に身を落ち着けたときです。
諸国を行脚し、漂泊しましたが、この詩は故郷に身を落ち着けたときです。
曉 良寛
二十年來里歸 二十年来 郷里に帰る、
舊友零落事多非 旧友零落して 多くは非なり。
夢破上方金鐘曉 夢は破る 上方(註1)金鐘の曉、
空床無影燈火微 空床(註2)影無く 燈火微かなり。
(註1)上方(しょうほう) 上の方
(註2)空床(くうしょう) 誰もないない寝床 がらんとした床
二十年ぶりに故郷へ帰ってきたが、
旧友は亡くなってしまい、多くは不利な状況になっている。
上の方の寺院の鐘で眠りは覚めたが、
誰もいない床には、ともし火がかすかである。
いつも思うのですが、良寛はたくさんの逸話は、無邪気に思えるほどの良寛を感じますが、たくさん残っている漢詩は、私にはどうにも暗いものとしか思えません。それがどうしても私には不可解なところです。
私が20代始めから詩吟を習っていた宗家荒國誠先生も、実にこの良寛が好きでした。いつも私に良寛の詩を教えてくれていました。
だが、いつも良寛の心境には遥かに至れない私をばかり感じていたものでした。