私はずっと雲居龍雄が好きでした。それは２１の頃からです。私は２１歳のときから、彼の詩を吟じてきました。ただし、この詩はこのごろ知ったばかりです。
雲井龍雄は、弘化元年（１８４４年）〜明治三年（１８７０年）の生涯でした。米沢藩士です。本名は小島守善。
辞世 雲井龍雄
死不畏死 死して 死を畏（おそ）れず、
生不偸生 生きて 生を偸（註１）まず。
男兒大節 男児の 大節は、
光與日爭 光（かがやき） 日と争う。
道之苟直 道之（これをみちび）き 苟（いやし）くも直（なほ）くんば、
不憚鼎烹 鼎烹（註２）を 憚（はばか）らず。
眇然一身 眇然（註３）たる 一身なれど、
萬里長城 万里の 長城たらん。
（註１）偸生（せいをぬす） 死ぬべきときに死なないで無駄に生き延びる。
（註２）鼎烹（ていほう） 釜ゆでの刑。
（註３）眇然（びょうぜん） 小さいさま。
死に際して、死ぬことを恐れない、
生きるといっても、無駄に生きてはいかない。
男の大切な節義とは、
太陽とその輝きと競うことだ。
筋道がかりそめにもただしければ、
釜茹での刑もはばからない。
わたしのこの身は、小さくてとるにたらないものだが、
万里となる長城となろう。
万里の長城になろうというのは、当時の薩長の横暴から、この日本を守ろうという気概です。
だが残念なことに、この彼の気持は、明治三年に新政府に逮捕され処刑されることになりました。
私はいつも龍雄を思い、悔し涙になってきたものです。
近藤勇は、幕末のときに甲府で破れ、流山で破れて、官軍に降伏します。官軍に抗したということで、中仙道の板橋で斬首されます。