10111111 唐の時代、辺境に出征した夫のことを思う詩はたくさんありますが、これもまたいい詩です。
 この王昌齡は盛唐の詩人です。(698〜756)の生涯でした。 安禄山の乱の時に官を辞しています。

  閨怨(註1)  王昌齡
 閨中少婦不知愁 閨中の少婦(註2) 愁を知らず
 春日凝粧上翠樓 春日粧を凝らして翠楼(註3)に上る
 忽見陌頭揚柳色 忽ち見る(註4) 陌頭(註5)揚柳の色
 悔教夫壻覓封侯 悔ゆらくは夫壻(ふせい)をして 封侯(註6)を覓(もと)め教(し)を


  (註1)閨怨(けいえん) 閨は女性の寝室。ここでは女性の意味。怨は、ものおもい、なやみ。
 (註2)少婦(しょうふ) 若い婦(よめ)
 (註3)翠楼(すいろう) 高く塗った高楼。
 (註4)忽見 ふと目にうつる
 (註5)陌頭(はくとう) 陌(みち)のほとり
 (註6)封侯(ほうこう) 諸侯となって、土地を与えられる

 奥深い部屋に住む若い婦(つま) 年が若いので屈託がない
 春の日お化粧をととのえて、きれいな高殿の登ってみる
 ふと目に入ったのは路傍に目をふく柳の色
 ああ、あの人に言うんじゃなかった。戦地を行って手柄をたてて、大名にになってくださいなんて、頼むんじゃなかった

 いい詩ですね。好きになれる詩です。幼い妻なのでしょうね。こうして悔いてみても夫は帰れないこともあるかもしれないのです。
 何度読み返しても、この幼い妻の気持に、最初少し笑いながら、そしてまた彼女の思いを考えてしまいます。そして笑ってはいられない気持になります。(2005.06.21)