このシロの彼女の白と茶のブチの雌犬の彼女のことを少し書きました。それで思い出していました。実に可愛い綺麗な雌犬でした。でももちろん彼女も野良犬です。二人はどこで生活していたのでしょうか。たぶん、シロは彼女とは同棲もしてなかったんじゃないかな。ただ互いに好きでときどき会っていただけでしょう。
私の父が、「このごろシロは彼女を連れてくるんだよ」と言っていたと思いましたら、「ほらほら」と父がいいますと、二人のシロとシロの彼女が現れたのです。
シロは面白い犬で、牛乳なんかあげても、少しも好きではありません。でも最初に我が家に来たときは、いわばお義理で、出された牛乳を飲みました。母は、
あ、この犬は、冷たい牛乳なんか飲みたくないんだ
というので、私が「でも飲んでるじゃない」というと、
ただ義理で仕方ないから飲んでいるフリしているだけだよ。ほら、こっちの言葉が判るのか、「そうだよ、こんなの飲みたくないよ」という顔しているだろう。野良なのに、もっといいものを食べているんだ。
ということで、いわば生意気なノラ公だったのです。
でもそのうち、シロは彼女は連れてきませんでしたが、私の家の一番はずれの壁際に眠るようになりました。
私の家には、大きな秋田犬がいたのですが、一番困ったのは、散歩から帰ってくると、シロがその秋田犬ヤマ（武山号という名前の秋田犬でした）の小屋に入ってしまうことです。野良犬だから、犬小屋なんかけっして入らないものなのですが、でもシロはもうこういういい部屋にも住みたかったのでしょう。ヤマは大きな犬なのに、シロにそうされると、私たちにいつも「オラの家を取り返してくれ」とばかりに泣くのでした。
それでいつも、母が「こらシロ、そこはヤマのお家なの、出なさい」と怒っていたものでした。
でも我孫子市も野犬狩りが激しくなりました。そしてシロの彼女もあるときに捕まりました。母は彼女が捕まって連行されていく野犬狩りの車を偶然見たようです。
ただし、私はまだ大学４年生で、もう現役の活動家としては使えませんが（なにしろ、２回起訴されていてダブル保釈中で、裁判も二つ抱えているので、また逮捕されたら保釈金が大変です）、後輩たちの救援活動（逮捕された後輩の差入れや親家族との接触ね）で追われていました。だから自分の親との連絡もとれない（あの頃はもちろん携帯もないし、どこにも電話もありませんでした）ので、私は家のほうの出来事はさっぱり判りませんでした。ただひさしぶり帰ったときに、母から「シロの彼女が捕まった」という話を聞いていました。
その後シロは自分はけっして野犬狩りに捕まらないように細心の注意をしていました。その頃、根戸のお百姓が「犬がほしい」と、このシロを連れて行って飼っていたことがあるのですが（これは前に書きました）、シロはやはり「自由勝手きまま」なのが好きなのです。すぐにそこを逃げ出してきました。
でもでも、そのあとのことは書きたくありません。
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