この鴎外の「普請中」で、大昔を思い出しました。
たしか、郷ひろみ主演の「舞姫」という映画を家族４人でテレビでみたことがあります。長女が小学６年か中学生のときだったかと思います。
そのときに、長女はこの郷ひろみ演ずる太田豊太郎が、また再びこのエリスに会いに来る、二人は再会して、幸せをつかむと思っていたようです。
そのときに、私は言いました。この二人は２度と会えないのでなく、エリスが豊太郎に会いに、遠くアジアの日本の東京までやってくること、そしてそこで豊太郎の鴎外が冷たくあしらい、エリスを棄てることをいい、それは「普請中」という作品に書かれていることをいいました。まだ、江戸時代をやっと終えた日本は明治時代というちょうど建築でいう普請中のときで、鴎外はもうエリスを構っていることはできなかったのだといいました。長女は、「そんなのは嘘だ。パパはいつも嘘をいう」と言っていました。
でもでも、事実は、「普請中」の作品のように、鴎外は実に冷たくあしらうのです。いえ、実際には、エリスに会ったのは鴎外の母親なのです。
そこでさらに思い出しました。１９９２年に小田茜と萩原聖人で演じられた「伊豆の踊り子」です。長女おはぎは中２で、次女ブルータスは中１でした。
この作品で、最後大島に去る小田茜が、聖人に、島に来てくれと大声で声をかけ、聖人が、「必ず行く」と声を返します。それで終わるのですが、長女はまた私に、「きっと島に行ってあげるのでしょう」と聴きます。でも私は、「いや、島にはいかないどころか、もう二人は２度と会わないんだ」といいます。長女は、いや、今二人は幸せに暮らしていて、この物語は、昔二人が出会ったことを思い出して、「ああ、そんなこともあったわね」と思いだしているのではないかというのですね。
でもでも、私は普通のことをいうしかありません。長女は、「またパパは嫌なことしか言わない」と思ったようです。
でも吉永小百合主演の「伊豆の踊り子」では、最後教員になった宇野重吉の前を、その後の吉永小百合が走っていくシーンがありました。原作には、あんなところはないですが、でもでもいいのかもしれないなあ。
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