11021210 私はこの本は東大闘争で逮捕起訴拘留されていた府中刑務所の中で読んでいました。
  1969年の8月でした。でも私には難しくて、付録の図を見て「ああ、こういう関係か」なんて確認しながら読んでいたものでした。当時の私には、中学のときに読んだ与謝野晶子の訳よりは、数段上のはずだという思い込みがありましたから、その考えだけで読んでいたものでした。
 だが後年、吉本(吉本隆明)さんの『源氏物語論』を読んで、私の錯覚に気づかされたものです。与謝野晶子のほうが、源氏物語がただただ好きなばかりで、その解釈には、間違いもあるが、まったくいいものなのです。
 昨日(2010.01.01)入っていました「北区ニュース」で「特集新春対談」というので、北区長との対談で、ドナルドキーンが次のように言っています。

 読みだしたら素晴らしいものだと思いました。
 それは『源氏物語』には全く戦争が描かれていないことです。現実の世界では、その当時も戦争が起こっていましたから。

 これを読んで私は「ハッ」としました。私はそんなことを少しも考えていなかったのです。そしてまた読んでみようと思いましたが、でもそのときに、また私は谷崎の源氏を読みたいという思いになりました。どうしても、与謝野晶子へは向かわないのですね。いえ、今はもっとたくさんの方が『源氏物語』を訳されています。だから誰か他の人のを読むべきかもしれません。
 でもでも、私にはこの谷崎さんの源氏物語がどうしても思い出されてくるのです。(2012.02.13)