毎日いろいろなことをやっているわけですが、けっこう現在の不況に関して聞かれることが多く、さまざまに話しています。また現在どうしても会社の経営不振によって、会社をやめざるをえない人がだんだんと出てきていますから、それらの方の再就職のことでも頭を悩ましています。私はあちこちに知り合いが多く、それでいろいろ頼まれるわけですが、今は若い人でいい人で優秀なのに、それでも実に大変ですね。
私はこの不況に対する明解な処方箋は書けませんが、この間７月総選挙のころから、各クライアント等で喋ってきたようなことを述べてみたいと思います。といってもまた、いっきにアジ文のようになってしまうかと思います。
そしてここで述べるのは、不況への対処法ではなく、この不況に対して、国家がどのように考え、そしてまたどのように推移していかせたいと考えているだろうというようなことの予測です。
まず唐突なのですが、私は皇太子の御成婚が何であんなに早かったのかなと思い話したものです。米国マスコミにより公にはっきりしたのが、今年の１月で、そして５カ月後にはもうあのようなイベントになりました。ちょっと早すぎやしませんか。
このように思ったものです。多分このままいくと、日本はもっともっと不況が深刻化するだろうから、その不況化であまりな国家予算を使うイベントは国民によくは思われなくなるのを恐れたのではないのか、と。かなり国家官僚たちには今の事態は予測できていたと思います。そしてまた彼らは自分たちの采配でなんとかできるはずだと思っていたに違いありません。なんせ「官僚は不況のほうが好き」（長谷川慶太郎談）ですから。
前に
続々「不況」は感覚の問題ではない 周（1993.03.14）
これはもう忘れられているのかもしれませんが、宮沢は竹下内
閣のときの大蔵大臣です。彼が日銀と組んで、超低金利時代を維
持し続け、あの「バブル」を演出したのです。異常な土地ころが
しやマンションころがしが続けられたのは、金融機関の強力なバッ
クアップがあったからです。それを押し進めたのは宮沢なんです。
そのつけは彼に払っていただきたいですね。彼がやるべきこと、
やれることはたくさんあるはずなのです。
と書いたことがありましたが、宮沢以下官僚たちは、それでも彼らの手法によってなんとかできると考えていたはずです。しかし彼らは彼らがやるべきことでも、常に後手後手にまわりました。また同じ自民党にまったく古い体質の三塚のような手合いがいて、これまた不況対策の足ひっぱりになりました。
そして宮沢以下自民党は内紛劇、かつ総選挙かつその後の政治局面で破れてしまいました。次は細川政権ならびに小沢がどうこの不況を克服していくのかということです。
公定歩合の引下げ、公共事業投資、減税等の当り前の不況対策をやってもこの不況は回復しないでしょう。それは宮沢の敗北で明らかです（宮沢は政治改革でダメだったのではない。政治も経済もダメだったのだ）。それは細川政権も認識していると思います。ただし現在の減税論議は重大なことを含んでいます。それは単に減税ではなく、大きく税制改革の問題が関わっているからです。ちょつとこのことをかたずけてみましょう。
あれほど消費税に反対だった社会党かつマスコミもこの「減税」というマジックの前ではどうしちゃったのでしょうか。このままいけば確実に消費税はあげられるでしょう。しかもこれらの勢力のおかげで最悪のパターンになるかもしれません。
細川、近衛、不況、消費税 周（1993.07.30）
今後間違いなく消費税を１０％に引き上げる形を作っていくで
しょう。不況だろうが好況だろうが、そうすれば税収は安定しま
す。その見返としては、所得税の上限が３０％くらいまで引下げ
るということと、食品等の非課税化。そして低所得層へのなんら
かの措置。これをやり遂げる役割が、今後の政権であり、強力に
押し進めるのが小沢です。
私は税の直間比率を直していくのは当然だと思いますが、こん
な形をやみくもにやられたら、中小企業はやっていけないですよ。
勿論そのときになれば、どうにかやっていくわけでしょうが、こ
んな安易な形ではやっていられません。うちは年間売り上げ３，
０００万円以下だから、非課税で関係ないと考える商店の方たち
も、今のままではわかりませんよ。前にも書いたように、簡易課
税制度は昨年１０月から大幅に変わりました。国会できめたんで
すよ。反対したところなんかないんです。また同じでしょう。１０％
にするのなら、ちゃんと徴税するためには、非課税枠は１，０００
万円以下にしろなどと、さまざまな評論家や、市民主義者や、社
会党がいいだすに違いありません。
（少し上の中で正確に書きますと、簡易課税制度が変えられたの
は、平成３年の１０月からです。ただそうすると、実質的に納税
として適用になったのはどの法人も昨年１０月からです）
とＵＰした通りでしょう。私たちが答えるとしたら、問題は国家は肥大化することなく、もっともっと小さくなるべきなのです。もっともっと金を使わなくともいいようにしていくべきなのです。サッチャーが各労働組合に、「もう国家に期待するな、自分たちでやれ」というなら、その分国家が縮小すべきなのです。今後は国家にあまり期待できないようになるが（年金にしろ、雇用保険制度にしろなんにしろ）、だけど増税するなんて話にならないのです。
さて、こうした公定歩合の引下げ、公共事業投資、減税等の不況対策がどうにもならないのなら、いったいどう細川政権ならびに小沢は考えているのでしょうか。
いま実際には、いまこそ持家を持ちたいという人は大勢います。また、過去の努力かつ今のふんばりで大変に黒字を出している企業もあります。そうしたところはとうぜん、ローンを組んで家を買ったり、設備投資したりしたいと考えています。でもできません。お金が無いんです。銀行が貸してくれないのです。
私が知っている例では、あるマンションが売れなくて困っている会社があるのですが、買いたいという人はいるのです。買いたいといっても、それは昔のようにころがしをしたりするのでは、銀行は融資できません。でも確実にそこで営業するとか、そこに住むということが分かっていても、それでも今の銀行は融資出来ないのです。
またある会社でこの時期にかなりな黒字を計上しそうな会社があります。しかし、このままだと税金を払えません。黒字というのは、そこに現金があるわけではないのですから。なんとかさらに仕入をしたり、たとえばもっとＯＡ化をしたい（節税にもなりますから）と思っても、銀行が動いてくれません。現金がなければどうにもならないのです。
また税務署への支払いでどうにも潰れてしまいそうなところもあります。銀行、街金融などはどうやら整理話合いがついても、税務署がどうにもならないというところがあります。いったいそれで会社が潰れてしまったら、もうそれこそ税務署だってとりっぱぐれてしまうではないのですか。街金すら協力しているのに、なんで国家がそんな姿勢すら示せないのですか。
問題はかなり深刻です。ただこうした例ではっきりしてくるのは、今あまりに金融機関が機能できていないことです。銀行はどうにも動けないようです。そりゃそうですよね。銀行にはバブル時代の大きなツケがありますから。
さて小沢ならびに細川政権は、この金融機関が以前のように活発に動いてくれれば、この不況はなんとか回復できると考えていると思います。それにはどうしたらいいのでしょうか。銀行が動けないのには、かのバブル時代のツケである不良債権があります。膨大なる担保の土地は系列の買取会社にまわしました。それが国家の指示でもありました。また今度も国家の指示がないと動けません。しかしまた国家は国民の支持なり、暗黙の了解がないと動くことができません。できたら銀行も国家もこうした不良な債権の償却のために、国家の援助でやりたいと思っているはずです。つまり、国家にこうした土地なりを買い上げてもらえばいいのです。ただそれは、宮沢かつ銀行のやった失敗のツケを国民にまわすことになります。国民がＯＫするわけありません。
いまその国民の意識を変えていきたい時期だと思います。やはりもう国が金を大胆に出して銀行を助けないと、これは大変だと国民が思ってくれればいいのです。その国民が一番危機に感じるのは、雇用不安でしょう。これで上場企業の大きなところが、なんらかで何社か大規模に人員整理なり（もちろん倒産でも）してくれば、かなり雇用不安は広まります。現在の大学生などはかなりな恐慌状態でしょうね。もっと進めば、やがてこの間、マスコミかつ市民主義勢力の主張がかなり変化したように、国民の不況への不安は増大していきます。それがあるところまで達したとき、こうした金融機関救済の露骨な方法がでてくるのではないでしょうか。
たぶんいま小沢ならびに細川政権が考えている不況への対処方法はこのようなことではないのかと思います。
でもこのように考えているとすると、またこれはとんでもなく腹立たしいことです。私はいままたさらにこうした小沢ならびに細川政権の考えに対してどのように私たちは考えていくべきなのかというのを、いろいろとあちこちで喋っています。そしてクライアントに対してもどのようにこの状況に対処すべきなのかを一緒に考えていっています。またそうしたことをいずれここで述べていきたいと考えています。
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