
尾張徳川家の江戸家老が来て、加倉井隼人を叱責します。読んでいて、ものすごく腹が立ちます。この家老は上之御部屋に座り込んでいる的矢六兵衛のことで怒っているのです。だがこのときに思うのです。
・・・・・・。・・・、隼人はふとふしぎな感慨を抱いた。大広間の先の御座敷に座り続ける六兵衛が、おのれ自身のように思えたのである。
この感慨はものすごく分かります。
・・・・・・。・・・、腐れぬ武士道を胸前に抱いた子孫が二人きり、松の御廊下の端と端に座っているような気がした。
この時の隼人の思いは充分に分かります。「いやこのご家老も苦労があるんだよ」なんて、少しも思いません。こんな奴は私は大嫌いです。こんなのはいつもいるのですね。それはいつも感じてきたものです。
私もただ座り続ける的矢六兵衛がどうにも薄気味悪く嫌でしたが、だんだんとシンパシーを感じてきたものです。
いや私は、サラリーマンだったときの、いくつものことを思い出していたのです。


















































































































































