私の妻が９月２９日に入院して、３０日に手術しました。残った３人の家族はみな病院に行っていたのですが、娘二人が、妻にいくつも手紙を置いていきます。私は、字を手で書くのが非常に苦手なので、以下のような手紙を打ちました。
ママへ
２００３年１０月２日
萩 原 周 二
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きのうは少し早く帰ってしまったね。ブルータスも自転車ではなかったので、自宅までタクシーで帰りました。自宅までは７４０円でしたよ。
「きのうはパパが作ってくれたから、きょうは私が作るよ」というので、ブルータスが夕飯を作ってくれました。いつも不思儀なんだけれど、ブルータスはご飯を作るのが素早いね。あッという間に、たくさんのおかずとご飯がテーブルに並んでいます。そして「パパ、ビール飲む？」と言ってくれます。当然パパは飲むのです。
前日は、お姉ちゃんとお喋りしながら、「ポレポレ」を出すために午前２時すぎまでパソコンを打っていたブルータスなのですが、この日は「疲れた」というので、午後１０時に自分の部屋に行きました。
前日は、おはぎとブルータスと３人で自宅まで歩いて帰りました。当初は、「どっかで食べていこうか」なんて言っていたのですが、「家にあるおでんで食べよう」ということになりました。私がブルータスの自転車を押して歩きました。二人は、ずっと学校の生徒たちのこと、授業内容のことを話しながら歩いていました。
いつものことですが、私はこうした二人の話を聞いていることが、ものすごく好きです。ただ、その話に加わっていけないのが、少しつまらないのです。だってその授業内容については、やっぱりよく知らないからなのです。
佐世子が、国語の授業での「おにたのぼうし」の話をしていました。主人公の黒鬼のおにたが、黒豆になれたのかどうかと聞いたら、生徒たちはものすごい論争になったようです。私たちもよく知っているＳ君がけっこう主張したようですよ。それで、「どうなんだろう、作者に手紙出してきいてみようか」なんてところまで行ったようです。
二人がこうして教員になって本当に良かったな、と思います。おはぎは、ブルータスのクラス運営にいつも感心し、ブルータスはお姉ちゃんに「うちのクラスへ来て、図工を教えてほしいな」と思っているようです。
手術が無事終わってもう大変に嬉しかったです。すぐ外に出て二人にメールしました。義父さんも大変に喜んでいました。あとは、早く元気になることなんだけれど、やっぱり私らはもう年なんだろうね。少し時間がかかるかもしれないけれど、頑張ってね。
きのう、ブルータスが来てくれて、談話室で二人で話していたら、同じ部屋の方が「お母さんは偉いわね」と話かけてきてくれました。
私なんか、最初は一人部屋にいて、娘二人に２晩泊まってもらっ
たわ。手術のあとは、痛くてずっと声をあげていたけれど、お母
さんは昨夜もずっと我慢していたみたい。強い人なんだなと思っ
たわ。
と言っていました。こうして、見てくれている方がいるんですね。嬉しいことです。身体が少し楽になったら、同じお部屋の人とも話してみてください。
談話室で、二人の娘と話していると、二人がママのことをものすごく心配して大事に思っていることが判ります。おはぎが、この私のことを「この大馬鹿ものが」と思っているのは、実に笑ってしまったな。その通りかもしれないが、でも昨日もまた私は同じ主張をしていましたよ。まあ、結婚すれば判るだろうけれどね。
きのう義母さんが、思っていたより元気でよかったね。義父さんは、変らず元気ですね。たいへんに嬉しいことです。
あなたの会社には、手術のあとＡさんに電話しておきました。きょうも会社に電話しておきます。
それから、お見舞いのお金は、あなたのＢ銀行に振り込んでおきますよ。
ＧとＳさんから、メールが入っていました。またきょう私が行きますクライアントの社長も心配していました。みんな、いろいろと心配してくれています。
きょうは、夕方は来れませんので、こうして手紙を置いておきます。
でも、娘二人がどこでも椅子に座って、どんどん手紙を手で書いているのは、見ていて感心します。私は字を知らないから、あんなに早く書けませんよ。パソコンという道具があって、本当に良かった。
