将門Web

周が日々仕事であちこち歩いたり、友人や家族と話した中で感じたことを発信しています。

Tag:六兵衛

1303080113030802 もう的矢六兵衛の座り続けるのは終りになるのかなあ、と思っていましたが、そうはならないようです。

 鰻を平げると、六兵衛は膝ひとつにじり下がって、深々と頭を垂れた。

 大村益次郎がやったことかなあ、そして加倉井隼人がよくやったよと思ったものでしたが、これでは終わらないようなのです。

  六兵衛は立ち上がった。その面ざしは晴れがましく、いかにも一事を成し遂げた快哉をたたえているように見受けられた。人々は喝采を惜しまなかった。

 だがだが、六兵衛はどうみても城を去るのではなく、違う方向へ行くのです。

「こら、六兵衛。そっちではない、奥に向こうてどうする」
 何ひとつ迷わぬそぶりで、六兵衛は御中庭の北から御入側へと足を進める。・・・・・・。13030703

 これでまだこの物語は続くのです。江戸は東京となり、時代は明治になるのですが、六兵衛はどうするのでしょうか。

1301250113012502 昨日は「ただ干鰯(ひいわし)のことは明日は分かるかなあ」とは書きましたが、六兵衛は香の物にも箸をつけぬのです。

 ・・・・・・。湯漬けの飯だけを食ろうて、干鰯にも香の物にも箸を付けぬというのは、きっと何か意味があるにちがいない。

 六兵衛は噯(おくび)ゲップをするのですが、徳川慶勝の前なのです。加倉井隼人は怒りますが、今度は慶勝が抑えます。これは何かあるのかもしれないと思い込むのですね。ここで切ったら、上野の彰義隊の怒りに火をそそぐだけだと。

 二人がようやく腰を落ち着けたとき、やにわに六兵衛が立ち上がった。閏月13012409を挟んでかれこれ二月余も座り続けた上之御部屋を離れ、いづくに向かうや六兵衛。

 やはりこの今の的矢六兵衛の考えていることはどうにも見当もつきません。さて明日は六兵衛はどこへいくのでしょうか。

1301210113012102  徳川慶勝はここにただ座っているだけの六兵衛がわけがわかりません。

「おぬしは誰じゃ。名乗れ」
 さては不覚にも罠に嵌ったか、旗本御家人が尾張に恨み骨髄であることぐらい承知している。大廊下の詰席に刺客が待ち受けていたのだ。

 これは大きな勘違いです。第一そこの六兵衛は脇差すら差し出しているのです。だだ慶勝はいいます。

「おのれ狼藉者。刀の錆にしてくりょう」
 御殿様は丹波守吉道の鞘を払うて立ち上がった。13011812

 この勘違いをどう慶勝は終えるのでしょうか。でも黒書院の六兵衛自身が語ってくれなくては、わけが分かりません。
 もちろん、歴史の事実としては、こんなことはないわけですが、でもでも読んでいて、はらはらしてしまいます。さて、どうなるのでしょうか。

1212150112121502 尾張徳川家の江戸家老が来て、加倉井隼人を叱責します。読んでいて、ものすごく腹が立ちます。この家老は上之御部屋に座り込んでいる的矢六兵衛のことで怒っているのです。だがこのときに思うのです。

 ・・・・・・。・・・、隼人はふとふしぎな感慨を抱いた。大広間の先の御座敷に座り続ける六兵衛が、おのれ自身のように思えたのである。

 この感慨はものすごく分かります。

 ・・・・・・。・・・、腐れぬ武士道を胸前に抱いた子孫が二人きり、松の御廊下の端と端に座っているような気がした。

 この時の隼人の思いは充分に分かります。「いやこのご家老も苦労があるんだよ」なんて、少しも思いません。こんな奴は私は大嫌いです。こんなのはいつもいるのですね。それはいつも感じてきたものです。
X12121404 私もただ座り続ける的矢六兵衛がどうにも薄気味悪く嫌でしたが、だんだんとシンパシーを感じてきたものです。
 いや私は、サラリーマンだったときの、いくつものことを思い出していたのです。

1211250112112502 この津田玄蕃はこの六兵衛とはかなり親しかったようです。

 ハハッ、もしそうだとすると、たしかに天下の意地ッ張りでござるのう。しかし、信じられね。あやつは馬鹿のつくぐらい物わかりのよい男でござる。

 フーン、この玄蕃の思いを聞きますと、少し分かった気がします。

 さては六兵衛め、何でもかでもハイハイと聞きながら、御組頭様に対してはよくよく肚(はら)に据えかねるところがあったか。それで御下命を達せられても、知らんぷりを決めてせめてもの意趣返し。ほかに考えようはござるまい。

 しかし、この小説のこととは関係なく、実に大修館の「漢字林」にお世話になっています。今回も、この「肚」を画面上に出すのが大変でした。これからもある12112421のでしょうね。漢和辞典は手放せません。
 それにしてもこの津田玄蕃によって的矢六兵衛の心が解けてくれるのでしょうか。なんとかうまくいってほしいのです。
  それと、この挿絵のやもりは何なのかなあ?

1211230112112302  今日は津田玄蕃が語ります。この挿絵にある通りお茶を飲みながら話します。私は最初はこの茶碗に酒を入れて話していると思ったのですが、それは私が酒が好きなだけのことです。でももう酒を飲まずにどれくらいになるのでしょうか。いやビールは毎日飲んでいますが。

 それにしても、上司の詰席たるこの菊の間におぬしと二人きり、何とも居心地の悪いものでござるのう。

 この津田玄蕃はけっこうよく分かっているのです。隼人のことを、尾張藩の「江戸定詰の御家来と拝察いたす」と見抜いています。
 結局仕事でも学生運動でも、手をあげてやりきる人間よりも、いわば日和見してしまうやからが圧倒的に多いものです。この江戸城の状態もそれがものすごいものだったのでしょう。

 上がそうした及び腰ならば、いよいよおのれが出よ12112220うと思うた。進み出たのは拙者ばかりではない。八番組からは今ひとり、あの的矢六兵衛が手をあげた。

 思えば、私もいつもこうしたときに必ず手をあげてしまったものだなあ、とつくづく思ったものです。

1211030112110302  ところが六兵衛は、斬りかかるどころか、脇差を神妙な面持ちで差し出したのである。

 これには私も驚いてしまいます。いや「結局は脇差を差し出すだろうな」とは思っていたのですが、こんなに素直にすぐにとは思いませんでした。そして以下のように座るのです。

 六兵衛は頭がよい。打てば響く。隼人の意を汲んで、「帝鑑の間の勤番士」に見えるよう四十畳の座敷の隅に居場所を定めたのである。

12110208 城中の黒衣(くろこ)たる茶坊主が、一番動き回ります。彼らには意思がないかのようです。思えば、明治維新でこれらの人はどうなったのでしょうか。武士社会の嫌な面、汚れた面をいつも隠し通してきたのでしょうね。いくつも小説の中で読んだことがあります。

1209300112093002 どうしても笑ってしまう「黒書院の六兵衛」です。でも隼人も幕府の人たちもただただ困るばかりでしょうね。

2012/09/30 05:01「黒書院の六兵衛」は、読みましても、この回はどうしても笑ってしまいました。

 憤懣というより愚痴のような隼人の話を黙って聞いてから、越前守はたいそう慇懃に言うた。
「・・・」

「あればかりは、御勅使様に訊ねられても返答のしようがござるまい。何とかなされよ」

 これは私が隼人なら、「そりゃあ、そっちが無責任だ」といいたいところです。
 一体いつになったら、六兵衛(あたらしいほうの)はどうするのでしょうか。たぶん、だまって自宅へ帰るのだろうな。「そりゃないよ。なんか言えよ」と私もいいます。
12092816 それと先週より待ちかねたのは、樺山紘一の「欧人異聞 プレイボーイ仏外相タレイラン」です。いや私は前週のメッテルニヒのときに、このタレイランをインターネットで調べていました。ナポレオンの大ファンである私にしてみれば、このタレイランもメッテルニヒと並んで大嫌いな人物でした。でも先週、インターネットでこの人物を調べているときに、なぜか私はこの人物を嫌いとはいえなくなっていたのです。
 今回知りました、「民衆を導く自由の女神」を描くドラクロアはこのタレイランの12092904庶子なのですから。あの絵と、タレイランをものすごく頭の中に思い出したものです。

 思えば、私の頭の中にあったメッテルニヒもタレイランも印象が変わりました。イギリス代表のウェリントンなんか、たださえないだけですものね。

 こうして8月になりました。

12080101120801022012/08/01 05:46また新聞が入ると「黒書院の六兵衛」を読みます。なるべく折込チラシもすべて目を通すようにしています。いやむしろ、新聞そのものを「読まなくちゃいけないよな」なんて思いで、無理に開いているところもあります。
 しかし、この小説はしっかり読み込んでいかないと、私では分からなくなりますね。いや「この小説は」ではなく「この小説も」なのかもしれません。

<あらすじ>六兵衛は大枚をはたいて御書院番士の株を買った金上げ侍のようだ。・・・。

 やっぱりこの小説を毎朝かかさず真っ先に見て読んで行くことだけが私にできることのようです。
12073104 今日からの「私の履歴書」が君原健二さんです。今日は「マラソン人生 『走った距離 地球4周分 五輪3度、全レース完走誇り』」です。
 うん、この人のマラソン人生を知るのもいいかもしれないと思ったものです。

 今日もしっかりやっていこうと思いました。

↑このページのトップヘ